ポリプロピレンが「どんな用途」で使用されて、「どんな特徴」を持っているかご存じですか?
ポリプロピレン(PP)は身近なプラスチックの中でも、非常に使用される機会の多い材料です。
日用品では「マスクの不織布」から「衣装ケース」、医療分野では「注射器のシリンダ」等々。実は様々な分野でその活躍をみせます。
そんなポリプロピレンの特徴について「誰でもわかりやすく」解説します。
この記事では以下について解説します
・ポリプロピレン(PP)の特性
・ポリプロピレン(PP)の物性
・ポリプロピレン(PP)の用途例
・ポリプロピレン(PP)の成形・加工
ポリプロピレン(PP)の特性
概要
ポリプロピレン(PP)は最も幅広く使用される樹脂の1つです。
結晶性の樹脂であり、汎用プラスチックの中でも、最高峰の耐熱性を誇ります。
広く使用される理由の1つがその「成形のしやすさ」であり、医療・工業・日用品等、様々なシーンで活躍しています。
ポリプロピレンは1950年代後半より、世界的に工業化が進みました。プロピレンを触媒の存在下で付加重合することで得ることができます。
一般的に汎用プラスチックはエンジニアプラスチックと比較すると耐熱温度は劣ります。そんな汎用プラスチックの中でもポリプロピレンはかなり高い温度領域で使用することができます。連続使用温度では120℃程度まで持ちます。
特徴
ポリプロピレンの長所と使用する際の注意点を以下に示しました。
・比重が0.9と低く、軽量
・成形がしやすい
・汎用プラスチックの中で最も耐熱性に優れる
・常温以上では耐衝撃性に優れる
・耐摩耗性に優れる
・耐薬品性に優れる
・耐水性に優れる
・比較的安価
・耐候性が低く、日光や熱で徐々に劣化する
・0〜-5℃以下の低温では耐衝撃性が弱い
※耐熱温度が非常に高く、耐衝撃・耐薬品・耐水性に優れるポリプロピレンですが、紫外線による劣化が起きやすいので「屋外での使用は注意が必要」です適切な添加剤などの処方がされているかしっかりと確認しましょう。
ポリプロピレン(PP)の物性
汎用プラスチックの中でも最も耐熱温度が高く、耐衝撃性も強いポリプロピレン。
その代表的な物性を以下に示しました。
※プラスチックはグレードによって物性値は異なります。上記の物性はあくまでも参考値としてください。
ポリプロピレン(PP)の用途例
「成形のしやすさ」という点から、需要としては60%程度が射出成形による製品と言われています。
自動車等の工業分野や、家電等にも多く使用されます。日用品としても、台所用品・浴室用品・食品容器・衣装ケース等幅広く活躍しています。
医療分野では「注射用のシリンジ」・「血液検査用器具」が代表的です。また、フィルム用途しては、食品包装として使用されます。
繊維の用途としては、マスクの不織布としても使用されています。
- 日用品 衣装ケース、台所用品、浴槽用品、文房具、各種コンテナ、マスク
- 電化製品 洗濯機、冷蔵庫、テレビ、オーディオ部品
- フィルム 食品包装、医療包装、多層フィルム
- 自動車部品 バンパー、ランプハウジング、内装部材
- 繊維 ロープ、漁網、マスクの不織布
- 医療 注射器のシリンジ、血液検査用器具
ポリプロピレン(PP)の成形・加工
成形
成形性の良さから、射出成形・押出成形・ブロー成形・真空成形などあらゆる成形が可能です。前述した通り、その中でも射出成形としての用途が非常に多く、60%程度になります。
身の回りの日用品や、注射器のシリンジ等もこの射出成形により成形されています。主な取扱メーカーを下記に示しました。
- 日本ポリプロ株式会社
- 株式会社プライムポリマー
- 住友化学株式会社
- サンアロマー株式会社
切削加工
切削加工用の樹脂としても、ポリプロピレンは使用されています。
用途としては食品分野などが多いです。
しかし、切削業界の中では、ポリプロピレンよりも、物性の近い(耐衝撃性・耐薬品性)ポリエチレンや、超高分子量ポリエチレンの方が使用頻度は多いイメージです。
ただし、ポリエチレンや超高分子量ポリエチレンは耐熱性がないため、高温下での使用時にはポリプロピレンが活躍します。
主な取り扱いメーカー
- タキロンシーアイ株式会社
- 東レプラスチック精工株式会社
- ナック・ケイ・エス株式会社)
まとめ
身近な製品に非常に多く使用されるポリプロピレンをご紹介しました。汎用プラスチックとして最高峰の耐熱性を持ちながら、安価で成形しやすいため、昔から多くの分野で使用されてきました。
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