誰でもわかる【ガラス転移温度】プラスチックの基礎

プラスチック・樹脂

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プラスチックを扱う上で、ガラス転移温度(Tg)という言葉をお聞きになったことはありませんか?ガラス転移温度とはその名の通り、プラスチックがガラス状の状態に転移する温度のことを言います。

ただガラス転移する温度と言われてもピンと来ない方も多いかもしれません。

ここでは、誰でも簡単にわかるようにガラス転移温度について解説します。

BizChem編集部

この記事では以下について解説します

・ガラス転移温度(Tg)の概要

・色々なプラスチックのガラス転移温度

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RYOTA

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ガラス転移温度(Tg)の概要

プラスチックの結晶と非結晶について

結晶性のプラスチックには分子の集まりが密(結晶)の部分と、疎(非晶)の部分が有ります。

プラスチックの強度は、この結晶が大きく関わってきます。結晶部分は水素結合などの分子間力によって、強固な結びつきをしているためです。

他方、非晶部分はプラスチックの柔軟性等に関わってきます

Tips

結晶はプラスチックの強度にに大きな影響を与えます。結晶性を有する樹脂は基本的に硬くて丈夫です。反対に、結晶構造を有していないゴム等は、非常に伸縮性に優れた材料です。

プラスチックの3つの状態

プラスチックは他の物質と同じように温度が上がると分子の運動性が増します。そして、そのまま温度を上げ続けると、やがて結晶部分が壊れ、流動性を持った液状になります。

硬い状態から、液状まで柔らかくなるまでを3つの状態に表し、「ガラス状・ゴム状・液状」と呼びます。

注意

この性質は全てのプラスチックに当てはまるわけではないので注意してください。熱硬化性樹脂などの場合、加熱により溶融することはありません。熱を掛け続けると流動性を持たずに炭化してしまいます。

・ガラス状

結晶部分だけでなく、非晶部分の運動性も低下した硬い状態。

・ゴム状

固体の状態は保っているが、非晶部分の運動性が高く、ガラス状よりも柔らかい状態。

・液状

結晶部分が壊れ、固体の状態を保っていません。流動的な状態。

ガラス転移温度はガラス状とゴム状の境目

結論から言うと、ガラス転移温度とは、「ガラス状からゴム状に変化する温度の境目」のことを言います。

また、ゴム上から液状へ状態変化する温度」のことを融点と呼びます。

Tips

ガラス転移温度を分かりやすく理解する例として「ガム」が有ります。ガムの主成分はポリ酢酸ビニル(ガラス転移温度30℃)。口の中でガムを噛んでいると柔らかくなりますが、冷やすと硬くなります。これは、ゴム状態のガムが冷却され、ガラス転移温度である30℃の境を越えることによって起きる現象です。

成形時における結晶性

プラスチックを成形する際、溶融時からの冷却方法により結晶性を高めるor下げることができます。

結晶性を高めたい場合

プ非晶部分の分子の動きが活発であるゴム状態の温度領域から、徐々に温度を下げるのが効果的です。そうすることで、非晶部分の分子が結晶化していき、結果的に硬いプラスチックを成形することができます。

結晶性を下げたい場合

液状の溶融状態から一気に冷却をします。そうすることで結晶の成長がほとんど進まずにプラスチックを固化することができます。

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色々なプラスチックのガラス転移温度

最後に、代表的なプラスチックのガラス転移温度、融点を示しました。それぞれのプラスチックごとにガラス転移温度は異なります。プラスチックを扱う上での参考にしてみてください。

※プラスチックの温度依存性については、それぞれの分子量等によって異なります。あくまでも目安として参考にしてください。

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まとめ

プラスチックには温度領域によって3つの状態があります。プラスチックのガラス転移温度を理解することで、プラスチックの成形に役立てることができます。それぞれのプラスチックの種類によって、ガラス転移温度は異なるので、この記事を参考に成形条件を検討してみてください。

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