ポリエチレンテレフタレート(PET)とは【用途例・特性・物性】

プラスチック・樹脂

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、皆さんにとって身近なプラスチックであることをご存じでしょうか。

身近で分かり易い製品ではペットボトルです

ポリエチレンテレフタレート(PET)の使用用途は非常に幅広く、ペットボトルだけではありません。

たくさんの使用用途・その特徴について「誰でも分かり易く」理解頂けるように紹介します

BizChem編集部

この記事では以下について解説します

・ポリエチレンテレフタレート(PET)の特性

・ポリエチレンテレフタレート(PET)の物性

・ポリエチレンテレフタレート(PET)の用途例

・ポリエチレンテレフタレート(PET)のリサイクル

・ポリエチレンテレフタレート(PET)の成形・加工

ポリエチレンテレフタレート(PET)の特性

概要

ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate)はその頭文字を取ってPETとも呼ばれます。

分類としては、ポリエステルに含まれます(構造にエステル結合を含む)。

テレフタル酸(DPA)またはテレフタル酸ジメチル(DMT)とエチレングリコール(EG)を重縮合することによって得られます。

PETは1948年にデュポン社により、最初は繊維用途として工業化されました。

Tips

ポリエステルと言えば、衣料用の「化学繊維」を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。実はポリエチレンテレフタレートはポリエステルの中でも「世界で最も使用されている」化学繊維の一つになります。

PETは結晶性の樹脂に含まれるのですが、結晶化速度が遅いといった特徴があります。

この結晶化が遅いため、結晶化構造が発現する前に、急冷却することで透明化した製品を得ることが出来ます。

この特徴を利用して、成形された製品が皆さんお馴染みの「ペットボトル」です。

Tips

基本的に、非結晶性の樹脂は「柔らかく」て「透明」、結晶性の樹脂は「硬く」て「不透明」です。PETの場合、敢えて結晶性の発現を抑えることで、透明の製品を得ているということです。

ただ、結晶性化の発現が遅かったことで、成形が難しく、成形材料としての開発は少し遅れています。

成形材料として使用されるようになったのは、ガラス強化グレードが開発されてからになります。ガラス繊維を加えることで、機械的強度が向上し、工業用途として使用されるようになりました。

Tips

プラスチックの業界では、「製品の強度を上げる」目的でガラス繊維を加えるのは良くある手法です。ガラス繊維の他にも、タルクやカーボン繊維等様々な充填材があります。これらをプラスチックの材料に混ぜ合わせることで、強度や剛性などを高めています。

特徴

ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用する上での長所と注意点を以下にまとめました。

長所

・融点は250℃の結晶性樹脂であり、耐熱性に優れる

・流動性が良いため、成形しやすい

・耐水性に優れる

・製法によって、透明性に優れる

・耐薬品性に優れ、食用油・酸・アルカリに強い

・無毒安全性に優れ、食品包装として使用される

・延伸強度に優れ、衝撃に強い

・電気特性に優れる

・耐熱性に優れ、連続では120℃で使用可能

簡単に説明すると、「透明な製品」ができて、「無毒安全」なので食品にも使用できて、汎用プラスチックでありながら、「熱にも強い」といったといった強みを持っています。

注意点

・高温化では加水分解を起こす(ペットボトル用途での温度では問題ありません)

・強度が低いため、工業用途では強化グレードを用いる必要がある

・耐候性は比較的低い

「水中で高い温度では使用できない」「通常製品だと強度が弱い」「屋外で使用すると劣化する」といういうのが注意点になります。

ポリエチレンテレフタレート(PET)の物性

一般的に繊維・フィルム・ボトルとして使用されることが多いです。しかし、工業用途ではガラス強化グレードとして使用されるケースが多いです。それぞれの代表的な物性を示しました。

ポリエチレンテレフタレート(PET)の用途例

概要

前述した通り、皆さんが一番馴染み深いPETはペットボトルだと思います。

また、PETは「ポリエステル」に含まれるため繊維としての需要も非常に高いのが特徴です。

Tips

リサイクルとしても注目されるペットボトルですが、リサイクルされたPETの多くが、「合成繊維」に使用されます。PET自体の用途としても、一番多いのが「合成繊維」です。

フィルム用途として、食品用の「包装材料」としても多く使用されています。

また、ご存じの方は少ないかもしれませんが、ビデオテープを代表するような「磁気テープ」もこのPETが使われています。

PETの使用用途は、以下にまとめました。実に多くの分野で使用されていることが分かります。

  • 合成繊維     シャツ・スーツ・コート・下着等あらゆる衣料品、カーテン、テント等の繊維製品
  • フィルム・シート ビデオ・カセット・MD等の磁気テープ、食品用フィルム
  • ボトル      清涼飲料水、食用調味料
  • 建材資材     パーテーション、ディスプレイ、看板
  • 工業       外板・機構部品等の自動車用途、電子機器部品、電化製品ハウジング

合成繊維

上述した通り、ポリエステルとして非常に多くの場でPETは使用されています。

衣料

PETはポリエステル類に含まれ、衣服に記載されている「ポリエステル」のほとんどが、PETだと思って頂いて大丈夫です。

更に、合成繊維の枠組みで見た際にもポリエステルの需要は非常に高く、世界の合成繊維の内の70%以上がポリエステルに含まれます。

世界の化学繊維の主要生産量は以下に示しました。図の通り、化学繊維の中でもポリエステルの需要が多いことが分かります。

参照:日本化学繊維協会

衣料以外

衣料以外にもポリエステルの出番は多くあります。

皆さんのお家にある、カーペットやカーテン、布団といったものもPETが使われているケースが多いです。

また、テントや不織布、建築資材用のシート等、繊維としての用途が非常に多いことが分かります。

ボトル

飲料用のボトルだけでなく「プラスチック製」「透明」な食品用途のボトルはそのほとんどがPETでできています。

PETでできているボトルは醤油・ドレッシング・料理酒・各種調味料用途など…etc

PETが使用されている製品の目印は以下のこのマークです。

参照:日本容器包装サイクル協会

このマークが記載されているものはPET製です。容器包装リサイクル法により定められており、リサイクルされたボトルにはこのようなマークが記載されています。

皆さんも、お家にあるボトルを確認してみて下さい。PET製であればマークが記載されているはずです。

その他のリサイクルマークも以下に載せておきます。

参照:日本容器包装サイクル協会

フィルム・シート

PETは合成繊維やボトル以外にもシート・フィルムとしての用途も多いです

食品系はもちろんのこと、日用品や工業用途としても使われます。

食品用のトレイ(卵のパック・果物用のトレイ等)や、食品用の仕切り等、食品用途では多数使用されています。

磁気テープとしても使用されています。今ではあまり目にする機会はありませんが、ビデオ・カセット等に使用されるテープです。その他にもブリスターパック(SDカード等が入っているパック)等、パッケージとしての用途もあります。

その他の用途

これまでご紹介した用途と比べると、需要量は少ないですが成形品としての用途もあります。

一般資材として、結束バンドや回収ボックス、搬送用ケース等。

また、日用品としてはゴミ袋、文房具、事務用品などが挙げられます。

ポリエチレンテレフタレート(PET)のリサイクル

環境への配慮として、リサイクルを積極的に取り入れているのもPETです。

その他のプラスチック製品と比較しても、リサイクル率は非常に高く、代表的なペットボトルでは、国内のリサイクル率は80%を超えています。

また、積極的にリサイクルを取り入れているEUでの再利用例を図に示しました。

参照:PETボトルリサイクル推進協議会

リサイクルされたPETは、上でご紹介したような用途に再利用されます。

PETはリサイクル率も高く、様々な用途で使用されるプラスチックです。今後も、持続可能な環境に配慮したプラスチックとして、需要は増えていくと予想されます。

ポリエチレンテレフタレート(PET)の成形・加工

ポリエチレンテレフタレートは、汎用性の高さから、多くの化学系メーカーが取り扱っています。

それぞれの用途ごとに取り扱いメーカーをご紹介します。

成形

ペットボトルや、食品容器として用いられる場合は、ブロー成形が用いられます。また、押出・射出成形といった一般的な成形も可能です。

Tips

ブロー成形とは、金型内で樹脂を内側から空気で膨らませることで、型に沿った製品を得る成形方法です。

取り扱いメーカー

  • デュポン社
  • 帝人
  • ユニチカ
  • クラレ

切削加工

切削用のプレートはパーテーションやカバー等の用途で用いられることが多いです。

接着・や曲げ加工が可能なため、複雑な形状を作ることが可能です。現在はコロナの影響から仕切り板としての需要も高まってきています。

取り扱いメーカー

  • タキロンシーアイ株式会社
  • 住友ベークライト

まとめ

汎用プラスチックに含まれるPETは、皆さんの生活と密接に関わっています。時にプラスチックゴミの代表として注目されるPETですが、近年ではリサイクルも進んできています。特に繊維用途では、今後更に需要が増えてくるのではないでしょうか。

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