機械や設備にMCナイロンの導入を検討されている方向けの記事です。
・MCナイロンという名前は聞いたことがあるけど、どういった特徴があるんろう?
・どういった用途で使用されるの?
MCナイロンは機械的特性に優れ、主に工業用途で活躍する材料です。そんなMCナイロンの用途例・特性について「分かり易く」ご紹介します。
6ナイロンを主原料とした、切削加工用の樹脂のことを言います。
この記事では以下について解説します
・MCナイロンの特性
・MCナイロンの用途例
・MCナイロンの物性
・MCナイロンの加工
MCナイロンの特性
概要
MCナイロンは汎用エンジニアプラスチックに含まれます。
その「機械的特性の高さ」から、工業用途を中心に様々な分野で活躍しています。切削加工用の材料であることから、「肉厚」で非常に「高強度」な製品を作ることが出来ます。
そのため、金属製品からの代替として利用される機会が多い製品です。
Tips
プラスチックの成形方法にはいくつかありますが、例えば射出成形の場合、肉厚5mm程度までの製品が限界です。しかし、MCナイロンは切削加工用の樹脂として、丸棒・板といった材料から削り出しで加工するため、サイズの設計自由度が高いのが特徴です。
主原料はポリアミド6です。切削加工の分野では、同じポリアミド6を主原料とした6ナイロンという製品もあります。主原料は同じですが切削加工業界では「MCナイロン」と「6ナイロン」で以下のような分け方がされています。
・MCナイロン
カプロラクタムを原料とした注型成形による重合で得られる。重合度が高く、高強度な製品なのが特長。ブルー色が一般的。
・6ナイロン
ペレットからの押出成形によって得られる。ペレットからの成形のため、一度熱劣化が起こっておりMCナイロンより強度は弱め。ただし価格は安い。
つまり、切削加工業界では「注型成形により得られるナイロンをMCナイロン」と一般的に呼びます。
Tips
ナイロンにはいくつか呼び名がありますが、JISの材料としての正式名称はポリアミド6(PA6)になります。原料の観点からみるとどれも同じPA6=6ナイロン=MCナイロンです。一般的な名称として知られていますが、本来「ナイロン」はデュポン社の商標であり、「MCナイロン」は三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズの商標です。
特性
MCナイロンの長所はたくさんあります。そのため、多くの分野で活躍する材料として知られています。以下にMCナイロンを扱う上での長所と注意点を記載致しました。
・機械的強度が高い
・耐熱性に優れる(連続では120℃までの環境で使用可能)
・耐摩耗性に優れる
・耐衝撃性に優れる
・耐摩耗性に優れる
・グレードが豊富で用途毎に使い分けが可能
・吸水が起こる(吸水が進むと、「物性の低下」や「わずかな寸法変化」が起こります)
・耐薬品性に優れるが、一部の酸には侵される
MCナイロンの用途例
MCナイロンは機械的特性が高いことから、金属の代替として使用することが出来る材料です。そのため、工業としての設備や機械の部品として使用される機会が多いのが特徴です。
主に金属の代替として使用されるのは、主に以下の目的からになります。
- 軽量化
- 相手材の傷つけ防止
- 摺動用途(サビが起きないので、注油等の手間を省略できます)
- 騒音防止
以下に代表的な用途を記載しました。
- 工業 ローラー・ギヤ・歯車・軸受け・ガイド等の各種部品
- 車両 特殊車両のローラー・摺動板・自動車のギヤ
- 一般 キャスターの車輪・立体駐車場の車輪・ケーブルのシーブ
MCナイロンの物性
MCナイロンの代表的な物性を示しました。
MCナイロンの加工
MCナイロンは樹脂の中でも、比較的「寸法安定性に優れる」といった特徴があります。切削性も良く、樹脂の加工としては一般的に多く使用される樹脂です。
ただし、あくまでも樹脂なので金属ほどの寸法安定性を得ることはできません。基準としては、JISの定める「一般公差の中級レベル」を参考に設計してください。
まとめ
MCナイロンの主原料はポリアミド6であり、機械的強度に優れることが特徴です。工業部品を主軸として、多くの分野で使用されています。今後、工場機械や自動車など軽量化が進む中で、MCナイロンの需要も高まることが予想されます。
コメント