「PVC(塩ビ)」は皆さんの身の回りでも非常に多く使用されている樹脂であり、4大汎用プラスチックの内の1つです。国内におけるプラスチックの生産量は3位と言われています。
用途は建材・農用・電化製品・日用品など様々です。そんなPVCの特性や用途例について「誰でも簡単にわかる」ようにご紹介します。
この記事では以下について解説します
・PVC(塩ビ)の特性
・PVC(塩ビ)の物性
・PVC(塩ビ)の用途例
・PVC(塩ビ)の加工・成形
PVC(塩ビ)の特性
正式名称はポリ塩化ビニル、通称PVC(塩ビ)と呼ばれます。エチレンの水素の内の1つを塩素(CL)で置換したものです。世界で最も早く工業化された汎用プラスチックです。
PVCは4大汎用プラスチックの内の1つです。4大汎用プラスチックはポそれぞれポリエチレン、ポリプロピレン、 塩ビ、ポリスチレンであり、これら4種類の生産はプラスチック全体の約70%を占めていると言われています。安価で生産できる塩ビは国内生産量は3位に位置付けられます。
PVCは非結晶性の樹脂に含まれます。一般的には配管(パイプ)がメジャーなためグレー色のイメージが強いかと思いますが、これは着色されたもので、自然色は透明色になります。
特徴
PVC(塩ビ)の長所と使用上の注意点を以下に示しました。
・設計自由度が高い(可塑剤、添加材、安定剤を加えることで軟質・硬質樹脂まで幅広い性質の材料設計戒能。)
・安価で生産することができる
・耐薬品性、耐水性、耐候性に優れる
・難燃性(自己消化性)を有する
・成形性が良い(リサイクル面も良い)
・電気絶縁性に優れる(電線被膜に使用)
・高温化(190℃以上)で分解し、塩酸を発生させるので成形時は注意が必要
・一部の有機溶剤に弱い
・耐熱性は高くなく、65~85℃で軟化する
PVC(塩ビ)の物性
PVCは成形性の良さから、各用途に応じて添加剤をコンパウンドして使用されるケースも多いです。また、軟質~硬質までの領域があるため、一概に物性を示すことは難しいです。ここでは、硬質PVCの一般的な物性を示しました。
※プラスチックはグレードによって物性は変化します。そのため、上記の表はあくまでも一般的な指標として参考にしてください。
PVCの用途例
塩ビは一般的には配管(パイプ)等の建材用途として知られているケースが多いのではないでしょうか。建材用途として使用される理由は、耐薬品性・耐候性・耐水性に優れるといといった点もありますが、難燃性(自己消化性)を有するという利点が大きいです。
上述した通り、可塑剤を加えることで、軟質~硬質まで設計ができることから、配管のような硬いものから、食品用のラップにまで幅広い分野で使用することが可能です。
また、近年ではコロナウイルスの影響から「飛沫感染防止用途」として、アクリル樹脂と同様に、仕切り板としての需要も急増しています。
- 建築資材 配管(パイプ)、パーテーション、看板、ディスプレイ、カバー
- 電化製品 コンセント、電線、コード
- 農用 ビニールハウス、ホース
- 一般材 手袋、ラップ、ビニールレザー、バッグ、浮き輪、食品等の容器
PVCの加工・成形
成形
成形性の良さから、射出・押出・真空等、様々な成形が可能です。注意が必要なのは、190℃以上に達するとPVCの分解が進行し、塩酸が発生することです。
特に射出成型など、金型が必要な成形の場合、金型の耐久が弱くなってしまう場合もあるので、成形には注意を払いましょう。
主な取扱メーカー
- 信越化学工業株式会社
- 株式会社カネカ
- 徳山積水工業
切削加工
切削用のプレートは「各種産業用」の仕切り板やカバー、「店舗用」のディスプレイとして用いられることが多いです。接着・溶接・曲げ加工等もできるため、加工性の幅が広いのが特徴です。
上述した通り、現在では「飛沫感染防止」の仕切り板としての需要が拡大しています。
主な取扱メーカー
- タキロンシーアイ株式会社
- 積水成形工業株式会社
- 笠井産業株式会社
まとめ
一般的に身近に使用されるPVCですが、国内での生産量も多く、使用用途は多岐に渡っています。身近なものでは柔らかいイメージの方が強いですが、軟質~硬質まで用途ごとに設計が可能なのがPVCの使い勝手の良さです。今後の需要として、飛躍的に伸びることはありませんが、これまで同様幅広いシーンで活躍することが見込まれます。
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