ポリエチレン(PE)とは【用途・特性・物性】誰でも分かる

プラスチック・樹脂

※当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています。

合成樹脂の中でも、最も生産量が多いのが「ポリエチレン(PE)」です。ポリエチレンは容器・包装フィルム等、幅広い分野で活躍します。

そんなポリエチレン(PE)の用途・特性・物性について、誰でも分かり易く理解して頂けるようにまとめました。

身の回りで使用されるポリエチレン

皆さんの身近なものでは「レジ袋」もポリエチレンから作られています。その他食品容器から日用品まで、生活に密接に関わっているポリエチレンについてご紹介します。

この記事の内容です。

BizChem編集部

この記事では以下について解説します

・ポリエチレン(PE)の特性

・ポリエチレン(PE)の物性

・ポリエチレン(PE)の用途例

・ポリエチレン(PE)の成形・加工

スポンサーリンク

RYOTA

34歳化学メーカー研究職。製造・営業・研究開発を経験。『研究開発に戻りたい』という思いから転職活動を開始。中堅化学メーカーから業界最大手へと転職し、300万以上の年収アップに成功。

👉【体験談】30代で大手化学メーカー研究職に転職!年収300万UPできた理由

自身の体験を基に転職やキャリアに関わる情報を発信中。

私自身も利用した、最もおすすめの転職エージェントは以下の2社です!

■研究職を目指すならコレ!
アカリクキャリア
→院卒者(修士・博士)専門、研究職に特化した転職エージェントです。

■転職後の定着率97.5%
マイナビメーカーAGENT
→メーカー専門、技術職に特化したエージェントです。

ポリエチレン(PE)の特性

概要

ポリエチレン(PE)はエチレンを重合させることで得られ、高分子の中でも「最も単純」な構造であり、プラスチックの中でも「最も多く生産」されています。

様々な化学製品の出発原料になるのが、ポリエチレンの原料である「エチレン」です。そのため、「エチレン」の生産動向は化学業界の景気を表す指標にもなります。

分類

ポリエチレンは製造方法や、密度の違いによって、いくつかに分類することができます。組成は同じ「ポリエチレン」であっても構造の違いによって、大きく性質が異なるためです。

以下には、代表的な3種のポリエチレンを記載しました。

  • 低密度ポリエチレン(LDPE)
  • 高密度ポリエチレン(HDPE)
  • 超高分子量ポリエチレン(UHPE)

特性

ポリエチレンは種類によって特性の違いはありますが、大まかに全体としての共通した特徴は以下の通りです。

ポリエチレン共通の特徴

・材料の中でも非常に安価

・比重は1以下であり、水に浮かぶ

・耐衝撃性に優れる

・耐水性に優れる

・化学的に安定であり、耐薬品性に優れる

・接着は基本的に不可

各種類ごとの特徴は以下に示しました。

・低密度ポリエチレン(LDPE)

密度が0.92付近のポリエチレン。結晶化度が低いため、透明なのが特徴。フィルムなどの日用品用途として、ポリエチレンの中でも「最も多く使用」される材料です。

・高密度ポリエチレン(HDPE)

ポリエチレンの中で、最も密度の高い材料です。分岐のない、直鎖状のポリエチレン。結晶化度が高いため、ポリエチレンの中でも「硬い」材料です。

・超高分子量ポリエチレン(UHPE)

通常のポリエチレンの分子量は5~30万程度ですが、超高分子量ポリエチレンは、その名の通り、100万~900万程度の分子量を有します。分子量の高さから、耐摩耗性・耐衝撃性に優れる樹脂です。

超高分子量ポリエチレンは分子量の高さから、その他のポリエチレンとは少し変わった特徴を持ちます。その特徴は以下の通りです。

超高分子量ポリエチレンの特徴

・自己潤滑性を持っており、低負荷での耐摩耗性に優れる。

・樹脂の中でも、最高クラスの耐衝撃性を有する。

・化学的に安定で、食品安定性に優れる。

・接着だけでなく、溶接も基本的に不可。

スポンサーリンク

物性

種類別のポリエチレンについて、それぞれ物性をまとめました。

基本的にポリエチレンは、その他の合成樹脂と比較し、「柔らかく」て「衝撃に強い」樹脂と覚えておきましょう。

スポンサーリンク

ポリエチレン(PE)の用途例

用途例についても、ポリエチレンの種類別にまとめました。

ポリエチレンの用途として最も多いのは「フィルム」です。私たちの身の回りにある、あらゆるフィルムの多くにポリエチレンが使われています。

低密度ポリエチレン(低密度PE)

フィルム食品包装・レジ袋・薬包装・農業用・化粧品包装
加工紙牛乳パック・洗剤容器・防水紙袋
電線被膜高圧電線・電話線・通信ケーブル
パイプホース
ブロー成型品軟質小型瓶・マヨネーズの容器・化粧品容器
日用品文具・食器・玩具
医療関係輸血用機・衣料品包装

高密度ポリエチレン(高密度PE)

コンテナビールケース・農業用・プラスチック段ボール
薬品保存瓶・灯油缶
日用品バケツ・ザル・玩具・台所用品
フィルム強化フィルム・ショッピングバック
パイプ輸送用配管等

超高分子量ポリエチレン(超高分子量PE)

ライニング用途工業用のサイロ・ホッパー・配管・トラックの荷台等のライニング
パイプ輸送用配管等
スポーツスキーの滑走路・スケートリンク・スノーモービル
食品用途レール・各種食品機械治具
その他工業用途ガスケット・化学プラントバルブ・ギヤ・歯車

ポリエチレン(PE)の成形・加工

成形

低密度ポリエチレン・高密度ポリエチレンの場合、レジ袋などに使用されるフィルムとしての成形が最も多いです。また、マヨネーズの容器等に使用される、ブロー成形による成形も多く利用されています。

コンテナや、日用品等の製品は基本的に射出成形で成形されます。

主な取扱いメーカー

  • 日本ポリエチレン(株)
  • (株)プライムポリマー
  • 旭化成ケミカルズ(株)
  • 東ソー(株)
  • 住友化学(株)
  • 宇部興産(株)

※超高分子量ポリエチレンは、粘度が高いことから、基本的に射出成形での成形は不可です。

加工

切削用の加工としては、高密度ポリエチレン・超高分子量ポリエチレンが一般的です。特にライニング用途等で多く用いられる超高分子量ポリエチレンは、通常板材からの切り出しにより加工します。

ポリエチレンは「柔らかく」、「線膨張係数が大きい」ため、その他の合成樹脂と比較し、寸法変化が大きくなってしまう場合があります。

加工の際は十分に留意した上での使用をおすすめします。

  • 三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(株)
  • 作新工業(株)
  • SKSエンジニアリング(株)

まとめ

プラスチックの中でも最も単純な構造を持ち、最も多く使用されているポリエチレン。密度の違いにより、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンの3種が存在します。それぞれ使用の幅も非常に広く、多くの業界で活躍しています。

コメント