だれでも分かる[含侵担持]とは?触媒の調製、作り方を徹底解説

化学の知識

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本記事は触媒の調製方法の「含侵担持」について化学メーカーで研究開発を行う私が詳細に解説いたします。

含侵担持は触媒を作る際の最も基本的な方法ですので、是非参考にしてください!

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RYOTA

34歳化学メーカー研究職。製造・営業・研究開発を経験。『研究開発に戻りたい』という思いから転職活動を開始。中堅化学メーカーから業界最大手へと転職し、300万以上の年収アップに成功。

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含侵担持とは?まずは1分で概要を理解

含侵担持は「担持金属触媒」の調製方法です。

担持金属触媒とは、「担体」に「金属」を担持した触媒です。そしてこのタイプの触媒を調製するのに、「含侵担持」が良く使われます。

含侵担持は簡単にいうと、

「金属が溶けた溶液(基本的に水)に担体を加えて、溶媒を蒸発させることで、担体に金属を付着させる方法」です。

含侵担持は歴史が古く、操作も簡単なことから、実験室でも工業スケールでも多様されています。

含侵担持のメリットとデメリットは以下の通りです。

含侵担持のメリット


・操作が簡単で古くから行われている方法。

・汎用性が高く、多くのタイプの触媒調製に適用可能。

含侵担持のデメリット

・安定した性能を得るのが難しい。
→溶媒を蒸発させる過程で、蒸発のさせ方にムラができてしまい、均一に担持できないことがあります。そのため担体を絶えず攪拌し、毎回同じ方法(温度など)で蒸発させるようにすることが重要

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含侵担持の具体的な手順

それでは含侵担持の具体的な手順についてみていきましょう。

注意点なども記載していますので、是非参考にしてください。

金属塩(硝酸塩、酢酸塩)を水に溶かす。

硝酸塩か酢酸塩のどっちが良いかは明確な判断基準はありません。使用する種類によって触媒の性能に影響を与えることもあり、どちらも検討されることが多いです。

①で作った溶液に担体を加える。

金属塩が溶けた水溶液に担体を投入します。この時担体は、粉体でも成型されたものでも問題ありません。基本的に担体と金属塩は反応しないため、発熱などは問題になりません。しかし気泡が出ることがあるため驚かないように注意しましょう。(担体の中に含まれていた空気が出るだけで問題ありません。)

溶媒(水)を蒸発させる。

溶媒を蒸発させることで、担体に金属を担持する工程です。溶媒を蒸発させる方法はいくつかあります。以下の方法はいずれも一般的な方法ですので、やりやすい方法で行ってください。またいずれの方法でも攪拌は必須になります。
・ビーカーなどにいれてホットプレートや水浴上で加熱して溶媒を蒸発させる。
・ロータリーエバポレーターに入れて溶媒を蒸発させる。
また蒸発させる温度は特に決まりはありませんが、50℃~80℃で行うことが一般的です。

乾燥させる。オーブンで一晩。

溶媒がほとんど蒸発したら、そこから更に乾燥させます。この段階ではまだ完全に溶媒が蒸発していないため、必須の工程になります。乾燥はオーブンなどを用いて50℃で一晩(12時間)行うことが一般的です。しっかり乾燥すれば特に時間による問題は大きくありません。

触媒を焼成する。

最後に乾燥させた触媒を焼成します。(粉末の担体を使った場合などは塊状になっている可能性があるため、事前に乳鉢などで粉砕します。)焼成の目的は硝酸塩などから、金属の酸化物にすることです。
例えば硝酸分は350℃以上で分解が始まることが一般的ですので、基本的には500℃で4時間程度焼成することが一般的です。

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Ni/Al2O3触媒の調製例

実際の含侵担持の例を以下の図に示していますので、是非参考にしてください。

また担持した金属として利用する場合は、最後に水素雰囲気下で還元処理する必要があります。

まとめ

含侵担持は触媒調製の中でも最も一般的な方法で、一番最初に試す方法だと思います。ぜひ参考にして行ってみてください。

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