バイオプラスチックの中で、一般消費者にも知名度が高いのが「バイオPE(ポリエチレン)」ではないでしょうか。
有料化に伴い注目されるようになった「レジ袋」、今ではそのほとんどのレジ袋にバイオPE(ポリエチレン)が使用されています。
そんなバイオPE(ポリエチレン)について、誰でも分かり易く解説します。
植物由来(バイオマス)の原料を使用して作られたPE(ポリエチレン)のことを言います。
この記事では以下について解説します
・バイオPEの概要
・バイオPEの用途
・バイオPEを取り巻く環境
バイオPEの概要
レジ袋を代表するように、バイオPE(ポリエチレン)は多くのシーンで使用されるようになってきました。
バイオPEは3大バイオプラスチックの1つとして、国内でも最も需要の高い環境対応プラスチック材料です。
バイオPEはバイオマスプラスチックに分類されます
バイオPEは植物由来(バイオマス)原料から作られるプラスチックです。
植物由来であり、原料に育つまでに酸素を排出しているため、化石燃料由来と比べ「トータルで二酸化炭素濃度の上昇を抑える」ことができます。
このような植物由来(バイオマス)から作られたプラスチックを「バイオマスプラスチック」と呼びます。
バイオPEの製造方法
バイオPEの原料はサトウキビです。サトウキビから発酵プロセスにより作られており、糖からバイオエタノールを製造します。その後、脱水→重合することでバイオPEを得ることができます。
通常のPE(ポリエチレン)は石油を原料として、ナフサからエチレンを精製します。その後、重合を経てPEとなります。
バイオPEとPEの製法の違いは下の図に示しています。通常のPEの製造に比べ、バイオPEは二酸化炭素の排出量を最大70%削減できると言われています。
バイオエタノールについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
バイオPEの用途
こんな所にもバイオPE
バイオPEはレジ袋だけでなく、様々なシーンで使用されています。
主な例としては、レジ袋・食品容器包装・自動車部材・ごみ袋・その他日用品などです。
バイオPEは原料がバイオマス(植物由来)ですが、製造後は通常のプラスチックと変わりません。そのため、現在ポリエチレンが使用されている製品に転用可能です。
今後、バイオプラスチックの生産能力が上がれば、使用される機会も益々増えてくることでしょう。
バイオマスプラスチックのマーク
バイオマスプラスックのマークを下の図に示しました。皆さんも恐らく目にしたことがあるのではないでしょうか。
特に、コンビニがバイオマスプラスチックのレジ袋を導入したことで、2018年頃位からよく目にするようになりました。今ではほとんどのお店のレジ袋に記載されています。
マークが2つありますが、右が「日本バイオプラスチック協会」、左が「一般社団法人日本有機資源協会」が定めたマークになります。
・日本バイオプラスチック協会
バイオマスプラスチックの割合が25%以上であり、協会が定めた基準をクリアすることで得られるマークです。
・一般社団法人日本有機資源協会
バイオマス由来のプラスチックが使われていること。バイオマス度が数字として記載されています。上の図の場合、30%以上バイオマスプラスチックが含まれていることになります。
バイオPEを取巻く市況
バイオPEの国内需要量
バイオPEは3大バイオプラスチックの1つであり、現在では国内のバイオプラスチック需要量の内の30%以上を占めています。特に、レジ袋有料化に伴いその使用量は2019年~2020年の間に大幅に増えました。
しかし、バイオPEは基本的に国内では生産されておらず、ブラジルのBraskem社からの輸入になります。
バイオPEはBraskem社からの輸入
世界でのバイオPEの生産能力約役20万トン(2018年)程度と言われています。日本だけでなく、そのほとんどの生産はBraskem社です。そのバイオPEを日本で仕入れているのは「豊田通商(株)」と「双日プラネット(株))」の2社になります。
これまで、ブラジルからのバイオPEの輸入には関税(税率2.6%)が掛かっていたのですが、2019年4月に暫定措置としてバイオPEの輸入関税が撤廃された。この輸入税率撤廃が、近年のバイオPEの国内需要量拡大に大きく寄与しました。
バイオPEの価格帯
バイオPEの価格は約170~200円/kg(2019年)と言われています。現在の石油由来のPEと比較すると1.2~1.3倍程度です。
今後、バイオPEの生産能力が向上すれば、益々の需要拡大が見込まれています。
コメント