だれでも分かる[バイオナフサ]とは? 世界が注目する原料を簡単に解説

化学の知識

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この記事では最近注目されている「バイオナフサ」について解説していきます。

現在世界中で「脱石油・カーボンニュートラル」に向けた様々な取り組みが行われており、その中でも特に注目を集めているのが「バイオナフサ」です。

今回はこのバイオナフサについて概要から製造方法、メリット、デメリットなど、詳しく解説していきますので是非参考にしてください!

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まずはバイオナフサについて1分で理解

まずバイオナフサを理解する前に、「ナフサ」とは何か?ということを確認しましょう。

ナフサとは石油を分解して得られるもので、このナフサからエチレン、プロピレンなどの基礎化学品が製造されます。(以下の図を参考にしてください。)

つまりナフサは「身の回りの様々な化学品の原料」で「石油からできている」と覚えておけば大丈夫です。(普段着ている服が石油からできていると言われるのはこのためです。)

このことから分かる通り、ナフサは生活に欠かせない原料ですが、大きな問題があります。

それはナフサが石油から出来ており、将来なくなる可能性や、大気中のCO2を増やしてしまうということです。

ここで登場するのが「バイオナフサ」です。

バイオマスナフサとは文字通り、バイオマス(植物など)からできたナフサです。

このバイオナフサを使うことで、植物など(再生可能資源)を原料にした化学品が製造でき、さらに大気中のCO2が増えないことで注目を集めています。

なぜバイオナフサを使ったら大気中のCO2は増えないの?


バイオナフサの原料は植物で、成長する段階で大気中のCO2をエネルギ源にしています。

そのため、この時点で大気中のCO2がマイナスになり、燃やしてCO2が発生しても、プラスマイナスはゼロとみなすことができます。

一方石油燃料は地下に埋まっていたCO2が大気中に放出されるため、地球上のCO2が増えることになります。(下の図を参照していください。)

バイオ燃料 なぜ CO2排出 化石燃料 違い
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バイオナフサはなぜここまで注目される?メリットは?

バイオ由来の原料はバイオナフサ以外にもバイオエタノールなど、様々なものがあります。

しかしその中でも「バイオナフサは最も注目されている原料」です。その理由について詳しく見ていきましょう!

メリット1 既存設備をそのまま使える

「既存設備をそのまま使える」という点がバイオナフサの最大のメリットです。

一般的に石油精製や化学品の工場は巨大で、新しく工場を建てる場合には数十億~数百億円の費用がかかります。

そのため「これからは石油ではなく、バイオマス原料を使った新しい工場を建てよう!」と考えても現実的には困難です。

一方「既存の設備をそのまま活用できるバイオマス由来の原料」があれば、巨大な投資が必要がなく、大きなメリットになります。

バイオナフサは通常のナフサと同じように扱うことができ、既存の設備を活用することができる点が注目される最大の理由です。

以下には三井化学㈱のバイオナフサの取り組みを上げていますが、既存の設備にそのまま使用することが想定されています。

メリット2 これまでと同じ品質の製品を提供できる

「これまでと同じ品質の製品を提供できる」という点も大きなメリットです。

これはメリット1と重複する点ですが、バイオナフサでは既存の設備を活用して、これまでと同じ品質の製品を製造することができます。

これに対してバイオマスから直接様々な化学品を作ろうとした場合は、そのバイオマスなどの不純物や構造の影響を受けることで、これまでと同等のものを作ることが困難になります。

メリット3 CO2排出量の削減

これは最初に述べましたの深くは説明しませんが、植物は生育過程で大気中のCO2を吸収します。

そのため最終的に燃やしてもCO2収支としてはプラスマイナス0であり「カーボンニュートラル」です。

以上のことから、バイオナフサはこれまでの石油由来のナフサと同じように扱うことができ、枯渇する心配がなく、CO2排出量の削減に貢献できるという大きな利点を持っています。

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バイオナフサに欠点はないの?

デメリット1 供給量が足りない

ここまでのメリットだけを聞くと、バイオナフサは夢のような原料だと思うかもしれません。

しかしこのバイオナフサには深刻な欠点があります。

それは「バイオナフサの供給量は足りない」ということです。

つまり、身の回りのあらゆるものは石油由来のナフサで作られていますが、このナフサをバイオナフサで補うほどの量がありません。

もしこの全てのナフサをバイオナフサで補おうとすると、世界中の森林を伐採する必要があり、逆に環境破壊に繋がってしまいます。

サトウキビなどの生物由来の資源を原料としたバイオマスプラも、まだまだ生産量が少ない。18年の世界のバイオマスプラ(非生分解性)製造能力は約120万㌧で、たとえフルに生産しても世界の全プラ製造量のわずか0.3%に過ぎない。

(エコノミスト 「脱炭素の落とし穴」 p.37)

そのためバイオナフサはあくまでも石油に代わる資源の1つという位置づけで、その他にもリサイクルやCO2の有効活用なども平行して検討が進められています。

デメリット2 一部のバイオマス原料は食料を使う

一部の「バイオマス原料は食料である」という点も大きなデメリットです。

バイオマス資源の多くはトウモロコシやサトウキビなど食料が原料となっています。そのため食料が不足しているにも関わらずこれらを化学品の原料にすることは賛否が分かれています。

ちなみにバイオナフサの原料は植物から絞った油(サラダ油のようなイメージ)でやはり食料になります。

そのため家庭から出た廃食油などをもとにバイオナフサを製造することも検討されています。

バイオナフサの価格、コストは?

これだけ魅力的なバイオナフサですが、なぜこれまで普及してこなかったのでしょうか?

それは「バイオナフサの価格、コスト」が最大の理由です。

現状バイオナフサは、石油由来のナフサよりも2~3倍高い価格となっています。

これまでこの価格では消費者に受け入れてきませんでしたが、最近は環境意識の高まりから、

①バイオマス由来の製品に付加価値が生まれた。②将来石油資源を使うことができなくなる。

こういった理由から高価なバイオナフサが使われるようになってきました。

国内では、三井化学が21年度下期からバイオマスナフサを使ったプラ製造を始める予定だが、カギとなるのはやはりコスト。同社の担当者は「生産する樹脂は化石由来原料に比べて2~3倍高くなる見込み。顧客がそれを認めてくれるかどうか、当社にとって賭けになる」

(エコノミスト 「脱炭素の落とし穴」 p.37)

しかし実際はバイオナフサを100%使うのではなく、例えば20%まぜて使う、などのようにして使用されています。

バイオナフサの製造企業

日本企業のバイオナフサの取り組み


国内でバイオナフサに取り組んでいるのは「三井化学」です。

三井化学は海外のNeste社から、実際にバイオナフサを輸入して、バイオマス由来の基礎化学品を製造しています。

例えばバイオナフサから製造されたバイオプロピレンはファミリーマートで販売されているおにぎりのパッケージなどに最近使用されることが決まっています。

海外企業のバイオナフサの取り組み

世界最大のバイオナフサを製造している会社はNeste社です。

Neste社は三井化学にバイオナフサを輸出している国で、今後も増産する計画を発表しています。

またその他UPM社など、基本的にバイオナフサを製造している国は海外になります。

まとめ

今回は現在注目されているバイオナフサについて見ていきました。

今後更にニュースで取りあげられる機会も増えると思いますので、是非参考にしてください。

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