MCM-41は最近注目されているメソポーラス材料(多孔質材料の1つ)です。
多孔質材料というとゼオライトや活性炭などが有名かもしれませんが、これらの違いを理解するのは難しいですよね。
今回は化学メーカーで研究をする私が、誰よりも分かりやすく解説していきます!
この記事を読むことで分かること
MCM-41の概要・多孔質材料の中での位置づけ・応用例
まずは1分でMCM-41を理解!
それでは解説していきます!
MCM-41はまず、Mobil Composition of Matter No.41の略です。
簡単にいうと、Mobilという会社が開発した材料で、その41番目という意味です。
(そんなに深い意味はありません。)
アメリカの石油化学企業です。1999年にエクソン社と合併し、現在はエクソンモービルという世界最大級の石油化学会社です。
そしてこのMCM-41はメソポーラス材料として知られています。
メソポーラス材料とは、その名前の通り、均一で規則的な細孔(メソ孔)を持つ材料です。
そしてMCM-41は二酸化ケイ素(シリカ)で構成された物質で、メソポーラス材料の中でも最も有名な材料の1つです。
- マイクロ孔:直径2nm以下の細孔
- メソ孔:直径2nm-50nmの細孔 → メソポーラス材料
- マクロ孔:直径50nm以上
有名な多孔質材料であるゼオライトは直径0.5nm-2nmの細孔(マイクロ孔)を持ちます。
そのためゼオライトはメソポーラス材料ではありません。
MCM-41とゼオライトの違い
細孔のサイズ
MCM-41の細孔はメソ孔であるのに対し、ゼオライトはマイクロ孔です。
細孔のサイズが異なると、その中に入れる分子のサイズも変わってきますので、結果として用途などが変わってきます。
例えば小さい分子の吸着はゼオライト、大きい分子はMCM-41など。
構成原料
MCM-41は基本的に二酸化ケイ素(シリカ)で構成されています。
一方ゼオライトは二酸化ケイ素とアルミナから構成された多孔質材料(アルミノケイ酸塩)です。
ここはやや専門的な話しになりますが、ゼオライトはシリカがアルミナに一部置き換えられた構造をしており、ブレンステッド酸点を持つ化合物です。
一方MCM-41はシリカのみから構成される元素のため、基本的にはブレンステッド酸点をもたない。ということも注目するポイントです。
耐久性
MCM-41はゼオライトなどの多孔質材料と比較すると、耐久性(耐熱性、耐水性、機械的強度)が弱いです。
これはゼオライトの細孔は結晶状であるのに対し、メソポーラスシリカはアモルファス状であることが要因です。
またゼオライトに比べて細孔分布が均一ではないことも特徴の1つです。
MCM-41の用途
MCM-41はその特異的な細孔(メソ孔)を活用して様々な場面で利用されています。
代表的な例が、触媒の担体や、DNAやタンパク質などの比較的大きな分子の吸着剤として用いられています。
特にゼオライトは0.5nm-2nmの細孔で、かなり小さな細孔です。
そのため、DNAやタンパク質などはゼオライトの細孔構造に入り込むことができません。
一方MCM-41はゼオライトと比較して、大きな細孔を有しており、これらの巨大な分子を取り込むことができます。
そのためDNAやタンパク質などの吸着剤として活用されています。
MCM-41の合成方法例
MCM-41の合成法はいろいろな作り方がこれまで発見されています。
その中でも代表的な方法としては以下のようなものがあります。
- カチオン性界面活性剤であるDTAC水溶液のミセル溶液を強塩基性に調整
- シリカ前駆体のTEOSを添加(アンモニウム基の周りにシリケートが配位)
- 棒状ミセルをガラスで包み込んだ集合体が生成
- この物質をろ過して500℃で焼成する。(有機物の界面活性剤を除去)
- 棒状のミセルの部分が空洞になり、ハニカム構造を持ったシリカ粒子が得られる。→MCM-41
MCM-41の入手方法
MCM-41を少量で試したい場合は試薬として購入することができます。
例えばメルク社などが提供していますので、是非参考にしてみてください。
しかし数gで数万円と非常に高価になりますので、大学などでは自分たちで合成して試験するのが一般的とのことです。
まとめ
今日はメソポーラス材料でも最も有名なMCM-41を見ました。多孔質材料は最近とても注目されている材料ですので、是非チェックしてください。
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