[誰でもわかる]ジルコニア 酸化ジルコニウムとは?概要から用途、製造方法まで徹底解説

化学の知識

ジルコニアは歯科材料、研磨剤、触媒などに使われ、最近注目されている材料の1つです。

しかしいったいどのように製造されており、どのような用途に使用されているかは以外と知られていません。

今回はそのジルコニアについて分かりやすく解説していきます。

ジルコニアとは?

ジルコニアとはジルコニウム(Zr)の酸化物である酸化ジルコニウム(ZrO2)のことです。

ジルコニウム(Zr)は上の画像の通り光沢を持った金属です。

一方ジルコニア(ZrO2)は下の画像のように白色の固体(粉体です。)

ジルコニアは靭性が高いセラミックとして知られ、機械的強度も高いため、刃物や工具などにも使用されています。

また最近では触媒などへの使用も増え、注目されているセラミックです。

セラミックとは?

セラミックスは非金属・無機の固体材料です。

固体材料のうち以下のものがセラミックになります。分類については下の図を参考にしてください。

①非金属元素からなる材料(シリコンやダイヤモンド)

②金属元素と非金属元素の組み合わせである無機化合物材料(酸化物、炭化物、窒化物など)

固体材料 分類 金属材料 無機材料

ジルコニアの特徴

純粋なジルコニアは温度変化によって結晶構造が変化していきます。

少し難しいですが、イメージとしては温度が上がることで氷が溶けて形が変わっていくことを想像してください。

より具体的にいうと、常温から高温になるにつれて結晶構造が単斜晶→正方晶→立方晶へと変化していきます。

ここで大事なのは、この結晶構造が変化することで、体積が大きく変わってしまいます。その結果結晶が壊れてしまいます。

これは風船が膨らんで割れてしまうイメージです。

ジルコニア 相変化 単斜晶 正方晶 立方晶

そのため、そのまま純粋なジルコニアを使用することは非常に難しいです。

例えば車のエンジン周辺で使用すると、非常に高温になるため材料が壊れてしまいます。

そこで開発されたのが、安定化ジルコニアです。

これはジルコニアに安定化剤を入れることで、体積変化が抑制されます。

安定化剤として、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの酸化物を結晶構造中に固溶させると、立方晶(上の画像を参考にしてください)のまま安定となり、体積の変化がなくなります。

このようにして改良されたジルコニアは以下のような利点があり、いろいろな分野で使用されています。

以下にはジルコニアの具体的な特徴を記載しています。

高強度・高破壊靭性

機械的強度は最も強いセラミックスの1つです。汎用的なアルミナとくらべても高強度であり、破壊靭性などの機械的特性に優れています。

そのため刃物、ノズル、また歯科材料用途でインプラントとしても使用されています。

熱的特性

融点が2700℃で、最高使用温度も約1200℃と大変優れています。

また熱伝導率が他のセラミックスに比べてかなり小さいこともあるので、耐火材や断熱材としても使用されています。

イオン伝導性

これは安定化ジルコニアが持っている特徴です。

安定化剤の影響で結晶中に酸素空孔が形成され、電圧がかかると酸素イオンが移動し、電流が流れる性質があります。

そのためジルコニアは酸素センサーなどにも利用されています。

ジルコニアの使用用途

ジルコニアには身近な歯科材料の他にもいろいろな場面で使用されています。

詳しくは下の表を参考にしてください。

用途具体的な用途の例
コンデンサー積層セラミックコンデンサー
高屈折率材料光学ガラス
触媒自動車排気ガス浄化・石油精製プラント
酸素センサー排気ガスの空燃比コントロール用のセンサー
歯科材料人工歯・インプラント材料
その他刃物・時計・電池材料・圧電センサー
ジルコニアの使用用途例

触媒用途について

近年ではジルコニアの触媒としての用途も広がってきています。

触媒に関しては以下のホームページが参考になりますので興味のある方をチェックしてください。

ただかなり専門的な内容になっています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpi1958/36/4/36_4_250/_pdf

ジルコニアの製造方法

ジルコンを電気溶融することによる精製する乾式法と、ジルコンを水酸化ナトリウムで溶融してシリカを分離した後に塩酸で分解し、オキソ塩化ジルコニウムとして加水分解して精製する湿式法に大別されます。

ちなみにジルコンとは、化学組成 ZrSiO4で表される、ジルコニウムのケイ酸塩鉱物です。

純度は一般的に乾式法で99.0%、湿式法で99.5%となり、用途によって製造方法も異なります。

基本的に電子材料用途などの高付加価値品は湿式方で製造されています。

乾式法:タイル・瓦・研磨剤・耐火物

湿式法:触媒・電子材料・ファインセラミック(高付加価値品)

ジルコニア製造方法 例 湿式法

ジルコニアの製造メーカー

第一稀元素化学工業

大阪に本社を置くジルコニウム化合物、ジルコニア、レア・アース、セシウム化合物のメーカーです。ジルコニアの様々なグレードがあり、圧電素子・セラミックコンデンサー・特殊磁器・触媒用や敷粉用、耐火材、研磨材、顔料用として多くのラインナップがあります。

太陽鉱工

モリブデン・バナジウムの抽出・精製、フェロアロイ製造、モリブデン・バナジウム化成品製造、希土類元素化合物・ジルコニウム化合物製造。セラミック原料製造や販売を手がける原料メーカーです。

同和ハイテック

液晶用の酸化インジウム粉や導電ペース用銀粉、光学ガラス用のジルコニウム粉などの製造販売を手がけるメーカーです。埼玉県に本社を持ち、DOWAホールティングスグループです。

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