誰でもわかる【ゼオライトとは?】 触媒、製造方法をわかりやすく解説

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総合化学メーカーで研究開発・新規事業開発を担当。

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化学の知識

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触媒の中でも最も有名で幅広く用いられている材料といえばゼオライトです。

ゼオライトは歴史が古く、様々な種類が知られています。

今回はそのゼオライトについて、化学メーカーで研究開発をする私が分かりやすく整理しましので、是非参考にしてください!

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ゼオライトの概要・ゼオライトとは?

まずは3分でゼオライトの概要を理解!

まずゼオライトの定義を説明すると、

「ゼオライト=ケイ酸アルミニウムの微孔性三次元結晶固体」です。

こう聞いてもイメージが付きづらいと思いますので、1つ1つ解説していきますね。

まずケイ酸アルミニウムは酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、水などが様々な割合で結合した組成物の総称です。

化学式で表すと以下のようなものになります。

 ケイ酸アルミニウム:xAl2O3. ySiO2. zH2

こう言われると何か特別なもののように感じますが、普段見の周りにある石などだと思ってください。

そしてゼオライトはその一種です。(実際にゼオライトは天然に存在しています。)

しかしこのゼオライトが普通の石とは違うのは、その細かい構造です。

冒頭で述べましたが、ゼオライトは、ケイ酸アルミニウムの微孔性三次元結晶固体です。

簡単にいうと、普通の石はただ酸化アルミニウムや二酸化ケイ素、水が集まってできたものです。

一方ゼオライトも一見ただの石に見えますが、細かく見てみると、ゼオライトにはサイズの小さな規則正しい開口部(細孔と呼びます。)をもっています。(以下の図参照)

イメージとしてはダイヤモンドも黒鉛も同じ炭素だけど、特性などは大きく異るのと同じイメージです。

ゼオライト 結晶構造 イメージ 例 
出典:https://jza-online.org/about/q1/
ここが重要

ゼオライトは酸化アルミニウムや二酸化ケイ素が混ざってできたもので、規則正しい3次元の結晶構造を持っている。そしてこの構造が触媒として利用されている。

ゼオライトにはいろいろな種類がある?

ゼオライトと聞くと1つの物質を想像してしまうかもしれませんがあくまで総称です。

例えば炭酸飲料というと、その中にはサイダー、コーラ、ファンタなどの種類がありますよね。

このように炭酸飲料がこれらの飲み物の総称のようにゼオライトも総称でたくさんの種類があります。

ではゼオライトにはどのような種類のものがあるのでしょうか?

先程述べたようにゼオライトはケイ酸アルミニウムの微孔性三次元結晶固体で、その特徴は微細な細孔にあります。

そのため、ゼオライトはその細孔の大きさや形が違うものがたくさんあり、それらによって分けられています。

まとめると、ゼオライトの特徴は微細な細孔構造で、その細孔構造によっていろいろな種類があります。

(名前がつけられています。)

そしてこれらのゼオライトは一部は天然にもありますが、ほとんど日々の研究によって新たに合成されています。

具体的には以下のように様々なもの合成されており、これまで250種類以上が実際に合成されています。

ゼオライト 種類 構造 
東ソー(株)HPより引用
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ゼオライトの性質

ゼオライトはその得意的な細孔構造から様々な性質や機能を持っています。

その中でも最も特徴的な機能が吸着や分子ふるいの機能です。

以下に簡単に概略を示していますが、その細孔構造から特定の物質を吸着したり、透過させる機能を持っています。

そのため例えば原子力発電所から漏れた有害物質(セシウム)を回収するためにもゼオライトが吸着剤として活用されました。

ゼオライト 吸着機能 分子ふるい

その他にも特定の物質だけを吸着できる性質から、臭いの原因になる物質を吸着する脱臭剤などの用途としても使われています。

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ゼオライトの種類

そういえばゼオライトは天然に存在にするのと、合成されるのがあるって言ってたけど違いはあるの?

用途が全く異なります!合成ゼオライトは特別な用途に開発されたもので、天然ものでは代替できません。価格も圧倒的に合成ゼオライトが高いです!

ゼオライトは酸化アルミウムや二酸化ケイ素、水が混ざった化学物質の総称ということはこれまで学びましたね。

そしてそのゼオライトには天然に存在するゼオライトと工場や研究所などで合成される合成ゼオライトに分けられます。

それでは違いを見ていきましょう!

天然ゼオライト

名前の通り天然に産出されるゼオライトです。

今まで自然界に40種類以上発見されています。

主に火山岩や堆積岩に見られます。天然のため価格は非常に安いですが、純度が低いの欠点です。

価格は用途やモノによっても異なりますが、おおよそ100円~1000円/kgであることが一般的です。

そのため生活に身近なペットの脱臭、飼料用などに使われることが一般的です。

合成ゼオライト

人間が作り出したゼオライトです。

例えば特定の医薬品を作るための触媒などのように、非常に高度な要求を実現するために開発されて製造されています。

化学原料(シリカやケイ素)をもとに合成されており、天然には存在しない微細な細孔構造を持つゼオライトも数多く合成されています。

ゼオライトの種類によっては10日以上かけて合成されるものもあります。

こちらは天然に存在せず、合成するのも大変なため価格も非常に高いです。

価格は種類や用途によって大きく異なりますが、数千円~数万の範囲のことが一般的です。

用途としては製薬、化学、自動車など様々な高付加価値品の分野で使用されています。

ゼオライトの用途・何に使われる?

ゼオライトはいろいろな場面で使用されています。以下にその代表例を示しています。

イオン交換

ゼオライトのような構造を活用してイオン交換用途として使用されています。

例えば、ナトリウム含有ゼオライトを充填したカラムに硬水を通します。

このプロセスでは、カルシウムとマグネシウムがゼオライトによって捕捉され、代わりにナトリウムイオンが放出されます。その結果、水が軟化してナトリウムが豊富な水を作ることができます。

 現在、ゼオライトはマグネシウムとカルシウムを除去するために洗剤にも使用されており、それによって水をより軟らかくし、洗剤の有効性を高めることにも使用されています。

イオン交換用途では合成ゼオライトと天然ゼオライトどちらも使用されます。

触媒

ゼオライトは、分解、異性化、炭化水素合成などの反応で触媒として使用されてます。

ゼオライトの多孔質構造により、非常に効果的な触媒になります。

さらに、特定のゼオライトの細孔は固定された形状とサイズであり、ゼオライトを特定の分子に対して選択的にするため、ゼオライトは形状選択触媒と呼ばれることがあります。

触媒用途ではほとんどが合成ゼオライトです。

吸着剤

ゼオライトは吸着力が非常に高く、さまざまな物質の吸着に使用されています。精製、乾燥、分離の分野で幅広い用途で使用されています。

合成ゼオライトと天然ゼオライトどちらも使用されます。

分離膜

細孔のサイズよりも小さい分子だけを通す、分子ふるいという機能をもっており、分離膜として利用されます。

例えば空気から二酸化炭素だけを分離するなどにも活用を目指して検討が進められています。

分離膜用途ではほとんどが合成ゼオライトです。

まとめ

今回はゼオライトについて勉強しました。ゼオライトは今後も成長が期待される材料ですので、是非チェックしてください!

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