だれでも分かる「R290とは?」注目されている自然冷媒の特徴や今後の展望を徹底解説

化学の知識

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RYOTA

34歳化学メーカー研究職。製造・営業・研究開発を経験。『研究開発に戻りたい』という思いから転職活動を開始。中堅化学メーカーから業界最大手へと転職し、300万以上の年収アップに成功。

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まずは「R290」を1分で理解しよう!

自然冷媒|総合エネルギー|岩谷産業株式会社 (iwatani.co.jp)

R290は、プロパンとも呼ばれる化合物で、LPガスを原料とした冷媒です。冷蔵庫や医療用フリーザー、ショーケースなどに使用されています。

R290は環境負荷が低いことから注目されている冷媒で、現在普及が進んでいます。

「R」は冷媒(Refrigerant)を意味し、「290」は特定の冷媒の種類を示しています。

https://shin-reinetsu.com/about-freon02/

具体的には、R290はプロパンのことを指します。プロパンは炭化水素で、その化学式はC3H8です。

このような命名法は、冷媒の種類を一目で理解できるようにするために広く採用されています。

他の冷媒にも同様の命名法が適用されています。

https://news.panasonic.com/jp/press/jn230608-2

例えば、R22はクロロジフルオロメタン(HCFC-22)、R134aはテトラフルオロエタン(HFC-134a)を指します。

これらの冷媒も、それぞれ異なる化学的性質と冷却能力を持っていますが、R290は環境負荷が低く、効率も良いことから現在注目されている冷媒です。

R290=プロパンガスの冷媒
地球温暖化などの環境への影響が少ないことから注目されている冷媒で、冷蔵庫などに使われています。

冷媒って何? クリックしてチェック

冷媒とは、冷蔵庫やエアコンなどで使われる特別な液体のことを指します。この液体は、冷たいところから暑いところへ熱を運ぶ役割を果たします。

冷媒がどのように働くかを理解するために、エアコンを例に考えてみます。エアコンが部屋を冷やすとき、冷媒はエアコンの内部で液体から気体に変わります。

このとき、周囲の熱を吸収します。つまり、部屋の暑さを吸い取って冷やすわけです。

その後、冷媒はエアコンの外部に移動します。ここで冷媒は気体から液体に戻ります。このとき、先ほど吸収した熱を外に放出します。そして、冷媒は再びエアコンの内部に戻り、同じことを繰り返します。

このように、冷媒は熱を冷たいところから暑いところへ運ぶ役割を果たします。これが冷媒の基本的な働きです。

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「R290」はどこで使われる?用途について

家庭用冷蔵庫

R290は、家庭用冷蔵庫の冷媒として広く使用されています。

その理由としては、R290が自然冷媒であり、地球温暖化係数 (GWP値)が非常に低いことが挙げられます。

業務用空調装置

R290は、業務用空調装置の冷媒としても利用されています。

R290は高い冷却性能を持ちつつ、環境負荷が低いため、業務用空調装置においてもその利用が増えています。

自動販売機

自動販売機においても、R290が冷媒として使用されています。

自動販売機は24時間稼働するため、エネルギー効率の良い冷媒が求められます。

R290はその要求を満たすため、自動販売機においてもその利用が広がっています。

ヒートポンプ給湯機

日本のノーリツ社は、R290を使用したヒートポンプ給湯機を販売しています。

ヒートポンプ給湯機は、空気中の熱を利用して水を温める装置で、R290の高い冷却性能とエネルギー効率の良さが活かされています。

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「R290」はどうして注目されている?

R290が注目されている理由は主に以下の4つの理由です。

R290は環境に配慮した冷媒として、また次世代の冷媒として注目されています。

環境への配慮

R290は地球温暖化係数 (GWP値)が非常に低い自然冷媒であり、オゾン層への影響もありません。

これは、地球環境に配慮した冷媒として、冷蔵庫やエアコンなどの冷却装置に広く使用されている理由です。

規制への対応

Fガス規制やPFAS規制に対応するために、地球温暖化係数 (GWP値)が高いフロン系冷媒から自然冷媒への切り替えが進み出しています。

安全性とエネルギー効率

R290は安全かつエネルギー効率も高いことが証明されています。これにより、他の企業もR290採用に追随し始めています。

将来的な可能性

将来的に家庭用空調やカーエアコンなどの冷媒としても採用される可能性があり、世界的に注目されています。

R290以外の冷媒について

https://shin-reinetsu.com/about-freon02/

クロロフルオロカーボン(CFC):オゾン層を破壊する可能性があるため、1995年末に生産が中止されました。代表的なものにはR11、R12、R113、R114、R115などがあります。

ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC):オゾン層への影響はCFCよりも小さいですが、それでも影響があるため、2020年に全面廃止が決定されました。代表的なものにはR123、R124、R141b、R22などがあります。

ハイドロフルオロカーボン(HFC):オゾン層への影響はありませんが、地球温暖化に影響を与える可能性があります。代表的なものにはR23、R32、R125、R134a、R143a、R152aなどがあります。

ハイドロフルオロオレフィン(HFO):地球温暖化係数が極めて低く、微かな燃焼性と低い毒性を持っています1。代表的なものにはR1123、R1224yd、R1234yf、R1234ze、R1233zdなどがあります。

その他の冷媒:自然界に存在する物質を使用した冷媒もあります。これにはR290(プロパン)、R1270(プロピレン)、R600(ブタン)、R600a(イソブタン)、R744(二酸化炭素)などが含まれます。

これらの冷媒は、それぞれ特性や用途、環境への影響などが異なります。

そのため、適切な冷媒を選ぶ際には、その特性や用途、環境への影響などを考慮する必要があります

R290の将来の展望は?

R290の技術の進歩と革新

R290冷媒の量は、R22およびR410aの40%〜55%にすぎず、より経済的です。

また、凝固点が低く、蒸発潜熱が大きいため、単位時間あたりの冷却速度が速くなり、等エントロピー圧縮比により仕事が少なくなり、コンプレッサーの作業が容易になり、コンプレッサーの寿命が延びます。

さらに、科学的知見に基づいた可燃性冷媒のリスク評価が進められており、次世代冷媒・冷凍空調技術及び評価手法の開発が進行中です。

R290の普及と市場動向

R290は、自然冷媒システムの成長に大いに関係しています。高GWPの冷媒使用の制限・禁止といった規制は、自然冷媒システムの採用増加に直接関与することとなるでしょう。

また、中国では、R290が安全かつエネルギー効率も高いと証明され、2016年から他の企業もR290採用に追随し始めています。

さらに、Haierは2023年に欧州でR290ヒートポンプの販売を開始する予定です。

持続可能な冷媒への移行

持続可能な冷媒に移行することで、規制への準拠と性能向上を実現します。

NEDOは、オゾン層を破壊せず温室効果も低い冷媒である、グリーン冷媒をはじめとする次世代冷媒や次世代冷媒を使用した冷凍空調機器の開発に着手しています。

これらの取り組みを通じて、モントリオール議定書キガリ改正における日本のハイドロフルオロカーボン(HFC)生産・消費量削減目標の達成に貢献します。

また、ダイキンは規制に先駆けて2030年までに高GWP冷媒からの移行を計画しています。

R290(プロパン)の製造方法

天然ガス・プロセッシング:気体の天然ガスから融点(凝縮点)の差を利用してプロパンとブタンを分離する方法です。

石油の分留:石油を加熱し、その蒸気を冷却することで、石油を構成するさまざまな成分を分離します。この過程でプロパンも得られます。

クラッキング:分子量の大きいアルカン(炭化水素)を高温で分解し、より小さな分子(プロパンなど)を生成する方法です。

これらの方法で製造されたプロパンは、不純物とされるイナート成分(窒素、アルゴン、二酸化炭素などの混合ガス)の含有量が100ppmを超えることがないように精製されます。

R290(プロパン)は、その純度が高いことが重要です。ブタンやエタンなど他のガスが混ざっていると、冷却性能や安全性に影響を及ぼす可能性があります。


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