5大エンジニアプラスチックの1つとして知られる「ポリアセタール」は非常にコストパフォーマンスに優れた樹脂です。
エンジニアプラスチックの中では価格帯も安く、汎用的に使用することができます。
工業用途などの設計段階において「樹脂材料の選定に悩んでいる」方にお勧したいのが「ポリアセタール」です。その特性・用途例についてご紹介します。
この記事では以下について解説します
・ポリアセタールの特性
・ポリアセタールの物性
・ポリアセタールの加工、成形
ポリアセタールの特性
ポリアセタールの正式名称はポリオキシメチレンです。一般的にポリアセタール(略称はPOM)と呼ばれます。
ホモポリマーとコポリマーの2種類が存在します。構造としてはどちらも直鎖性の高分子です。
ポリアセタールはエンジニアプラスチックの中でも安価であり、機械的強度が高いため、汎用的に用いられることが多いのが特徴です。
ホモポリマーとコポリマーの2種類
ホモポリマーとコポリマーについて、それぞれ特徴を示しました。ポリアセタールは、日本ではポリプラスチック株式会社の商標である「ジュラコン」という名前で知られているケースも多いです。「ジュラコン」は以下でいうコポリマーに属します。
・ホモポリマー
「ホモ」というのは同じという意味です。一つの構造が連続的に慣れんでいるのがポリアセタールのホモポリマーです。1959年にデュポン社により工業化されました。デュポン社での商標はデルリンです。コポリマーと比較し、機械的強度が高いのが特徴です。
・コポリマー
コポリマーは二つ以上の構造からできたポリマー(樹脂)のことを言います。1962年にセラニーズにより工業化されました。ホモポリマーと比較し、耐薬品性・耐熱性・寸法安定性に優れます。
一般的にはこの「コポリマー」の方がよく使用されています。
特徴(コストパフォーマンスに優れる樹脂)
ポリアセタールは結晶性の樹脂なので、自然食は不透明な乳白色です。ポリアセタールの長所・短所を以下に示しました。
・金属の代替として、機械部品などに使用できる
・優れた機械的強度を有する
・自己潤滑性があり、摩擦係数が低いため耐摩耗性に優れる
・クリープ特性が高く、耐疲労性に優れる
・エンジニアプラスチックの中でも安価
・耐薬品性に優れ、アルカリや潤滑油に強い
・エンジニアプラスチックの中では、耐熱温度は高くない。
・難燃性を示さず、燃えやすい。
・比較的に耐薬品性に優れるが、酸性には弱い。
物性
代表的な物性を以下に示しました。エンジニアプラスチックの中では、耐熱温度は高くありませんが、バランスの取れた物性を示します。
ポリアセタールの用途例
先に記述した通り、エンジニアプラスチックの中でも最も汎用的に用いられるのがポリアセタールです。その汎用性の高さから、幅広い業界で使用されます。以下にその例を示しました。これらはほんの一例であり、その他多くの場所で使用されています。
- 工業機械 ギヤ・歯車・軸受・ローラー等
- 自動車部品 ハンドル、ヒーターファン、ドアロック、各種ギヤ、グリップ等
- 建築資材 アルミサッシ、カーテンレール、水道メータ等
- 一般材 ファスナー、キャスター、ボールペンノック、各種樹脂部品
ポリアセタールの加工・成形
ポリアセタールはエンプラの中でも需要が高く、多くの化学系メーカーが取り扱っています。
切削加工
ポリアセタールは旋盤・フライス等を使用した切削加工に適した材料です。寸法安定性が高いため、複雑な形状の加工品にも使用することが可能です。主な取扱メーカーを以下に示しました。
- デュポン社
- 東レプラスチック精工
- ポリプラスチック
- 三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ
射出成形・押出成形
ポリアセタールは結晶化速度が速く、成形サイクルを短くできる樹脂です。金型の温度変化に対する成形品の寸法変化が小さく、精密な成形にも対応することができます。主な取扱メーカーを以下に示しました。
- デュポン社
- 旭化成ケミカルズ
- 三菱ケミカルエンジニアプラスチックス
- 東レ
- ポリプラスチックス
まとめ
ポリアセタールはエンジニアリングプラスチックの中でも、最も汎用的に用いられる樹脂です。これは、コストが安く、機能性の高いことに起因します。皆さんの身の回りでも、ポリアセタールは多く使用されています。金属の代替として、使用されるケースが多くなってきており、今後益々活躍の場が増えてくる樹脂です。
コメント