【だれでも分かる】”誘電正接”とは?最近注目される半導体関連用語を徹底解説

化学の知識

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最近5Gや6Gなどが注目される中で、誘電正接などの言葉も聞くことはあるのではないでしょうか。

しかしこれらの言葉を検索してもいずれも難しい言葉での解説ばかり….

このサイトでは「小学生で分かるぐらい簡単な解説」を提供していますので、是非一緒に学びましょう!

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RYOTA

34歳化学メーカー研究職。製造・営業・研究開発を経験。『研究開発に戻りたい』という思いから転職活動を開始。中堅化学メーカーから業界最大手へと転職し、300万以上の年収アップに成功。

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まずは1分で誘電正接を理解しよう!

誘電正接とは「電気が通りにくい材料(絶縁体)で、電気のエネルギーがどれくらい熱として失われるかを表す値」のことです。

例えば、コンデンサーという部品は電気をためる役割がありますが、実際には、少しだけ電気が漏れたり、エネルギーが熱になって失われたりします。

この「エネルギーの損失」がどれくらいあるかを示すのが「誘電正接」という値です。

この値が小さいほど、エネルギーの無駄が少なくて「良い性能」を持つとされています。

誘電損失も理解しよう!

電気が通りにくい材料(絶縁体)に電気を流すとき、一部のエネルギーが熱として失われることがあります。この「熱として失われるエネルギー」を誘電損失といいます。
誘電正接は、この誘電損失がどれくらい起こるかを表す「目安」や「指標」のようなものです。

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誘電正接の身近な例を理解しよう

誘電正接を理解するために身近な例でイメージを説明します。

バケツで考える誘電正接

理想的なバケツ(誘電正接がゼロに近い)
 穴がなく、水を全く漏らさずに運べます。

この場合、水(電気エネルギー)はすべて目的地に届き、無駄がありません。

現実のバケツ(誘電正接が高い)
 小さな穴がたくさん開いていて、水が少しずつ漏れてしまいます。

目的地に着くころには、水が減っています。これはエネルギーの一部が熱に変わってしまうことを表しており、無駄が発生しています。

乾電池で考える誘電正接

誘電正接は「乾電池の効率」にも似ているます。

誘電正接が小さい乾電池:電気が無駄なく使えるから長持ちする。

誘電正接が大きい乾電池:使っていなくても少しずつ電気がなくなっていって、気づいたら電池が切れていることがある。

このように、誘電正接が小さいと長く電気をためられて、効率が良くなります。

誘電正接は、電気を使う機械や道具を作るときにとても大事な値です。

ポイント
  • 誘電正接は「エネルギーの無駄」を表す値。
  • 値が小さいほど良い性能。
  • 主にコンデンサや電子レンジなどで重要な特性。
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誘電正接が高い方がいい場合もある?

これまで誘電正接が低い方が電気をためることができると説明してきました。

それでは誘電正接が高い方がいい場面もあるのでしょうか?

実は、誘電正接が高い方がいい場合もあります。

例えば、電気をわざと熱に変える必要があるときには、誘電正接が高い材料を使うほうがいいです。

電気が逃げやすいと、その逃げた電気が熱に変わるから、ヒーターや電子レンジなどの「電気を使って熱を出す道具」に使われています。

つまり、誘電正接が高いと「熱を効率よく作ることができる」というメリットがあります!

ここまでのポイント

誘電正接は、「電気をためるときに、どれくらい電気が逃げやすいか」を表す言葉。

  • 誘電正接が小さいと、電気をしっかりためられる。
  • 誘電正接が大きいと、電気が逃げやすくなる。
  • 誘電正接が高い方が良い場合もあって、ヒーターや電子レンジなどの「熱を作る道具」に使われる。

もう少し詳しく誘電正接を理解してみよう

誘電正接をもう少し詳しく理解するためにはまず誘電体を理解する必要があります。

1. 誘電体とは?

まず、誘電正接を理解するには「誘電体」について知る必要があります。

  • 誘電体とは、電気を流しにくい物質(絶縁体)のことです。たとえば、プラスチックやガラス、セラミックスなどが誘電体にあたります。
  • 誘電体は電気を流さない代わりに、電場(電気の力)を受けると、内部の電子が少しだけ動いて「電気をためる性質」を持っています。この性質を「誘電特性」といいます。

2. 誘電体のエネルギー損失

電場が誘電体にかかると、内部の電子は動きますが、その動きには「遅れ」が生じます。

この遅れによって、誘電体の中でエネルギーの一部が熱に変わってしまうため、完全に効率的に電気をためることができません。

この「エネルギーの損失」を測る指標が「誘電正接」です。


3. 誘電正接の定義

誘電正接(tan δ、タンデルタ)は、次のように定義されます。

誘電正接の式
  • 損失電力:誘電体が熱に変えてしまうエネルギーの割合。
  • 蓄えられる電力:誘電体がためることができる電気の割合。

誘電正接は無次元の値(単位がない)で、数値が小さいほどエネルギーの損失が少なく、効率が良い材料ということになります。


4. 誘電正接のイメージ

誘電正接を角度のイメージで説明すると、誘電体に電場がかかったときの電流と電圧のズレの角度(損失角)を表します。

  • 理想的な誘電体では、電流と電圧は完全に一致して流れ、エネルギーの損失はありません。このとき、誘電正接はゼロになります。
  • 現実の誘電体では、電流と電圧が少しズレるため、エネルギーの損失角 δ(デルタ)が生じます。このズレの角度が大きいほど、誘電体がエネルギーを損失する割合が大きいです。

5. 誘電正接が重要な理由

誘電正接が小さい材料を使うと、エネルギーの損失が減るため、以下のような利点があります。

  • 電子機器の効率向上
    → スマホやパソコンなどの電子部品では、コンデンサーなどの部品に誘電体が使われています。誘電正接が小さい材料を使うと、無駄な熱が発生しにくくなり、部品の効率が上がります。
  • 高周波回路の性能向上
    → 無線通信(Wi-FiやBluetoothなど)では高い周波数の電気信号を使います。誘電正接が小さいと、信号の損失が少なくなり、より遠くまで正確に電波を飛ばせます。
  • 省エネ化
    → 誘電正接が小さい材料を使うとエネルギーの無駄が少なくなり、省エネ性能が向上します。

6. 具体例

  • 低誘電正接の材料:フッ素樹脂や特殊なセラミックスなどは誘電正接が非常に小さく、電子機器の部品に広く使われています。
  • 高誘電正接の材料:普通のプラスチックや紙などは誘電正接が大きく、エネルギーを効率よくためるのには向きません。

誘電損失と誘電正接の関係は?

1. 誘電損失とは?

誘電損失は、電気を流しにくい材料(誘電体)でエネルギーが無駄になることを指します。

  • 誘電体の中に電場(電気の力)がかかると、電子が少しだけ動きます。このとき、材料の中で熱が発生してしまいます。
  • この熱が「誘電損失」です。つまり、誘電損失は電気エネルギーが熱に変わってしまう量だと考えればわかりやすいです。

2. 誘電正接とは?

誘電正接は、誘電損失の割合を表す値です。

  • 誘電正接は「損失角(損失の大きさを示す角度)」の接線(tan δ)を意味します。
  • 誘電損失が大きい材料ほど誘電正接の値が大きくなり、逆に誘電損失が小さい材料では誘電正接の値も小さくなります。

3. 誘電損失と誘電正接の関係

誘電損失と誘電正接の関係は、次のように考えることができます。

  • 誘電正接 = 誘電損失 ÷ 蓄えられるエネルギー
    → 誘電正接は、材料がどれだけエネルギーをためることができるかに対して、どれだけエネルギーを無駄にしているかを比べた値です。

4. 具体的な例でイメージ

たとえば、スマホの中のコンデンサー(電気をためる部品)があるとします。

  • 誘電損失が小さい材料を使うと、電気を効率よくためることができ、ほとんどエネルギーを無駄にしません。このとき、誘電正接は小さくなります。
  • 誘電損失が大きい材料だと、たくさんのエネルギーが熱になって無駄になるので、誘電正接も大きくなります。

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