最近注目される多孔質材料としてCOF/共有結合性有機構造体があります。
しかし多孔質材料にはゼオライト、メソポーラスシリア、MOF、活性炭など様々な種類のものがあります。
その中でもCOFは歴史も新しく、近年最も注目されている多孔質材料の1つです。
本記事ではCOFの概要から用途まで、化学メーカーで研究開発をしている私が、だれでも分かるようにやさしく解説します!
また下の図にはCOFに関する文献数の推移を示していますが、最近の注目度の高さが伺えます!
是非この機会に概要を把握しましょう。
COFって何?1分で簡単に理解
COFは共有結合性有機構造体を意味しており、Covalent Organic Frameworlsの略です。
まずこのCOFは簡単に説明すると、以下の通りです。
「2005年に見つかった新しい材料で、有機化合物が共有結合してできた注目の多孔質材料」
ここで大事なのは、まず新しい多孔質材料ということです。
多孔質材料には様々なものが知られており、最も有名で歴史が古いものは、ケイ素とアルミニウムから構成されるゼオライトです。
そしてその後、シリカから構成されるメソポーラスシリカや有機化合物と金属から構成されるMOFが開発されました。
(これまでの多孔質材料の開発に関しては以下の図を参考にしてください。)
そしてCOFは水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素などの軽元素のみで構成されているのが特徴です。
COFに名前がよく似ており、よく比較される多孔質物質としてMOF(Metal Organic Framework)があります。
MOFとCOFは多孔質材料の中では比較的新しい仲間と認識されています。
MOFは名前の通り、金属と有機化合物から構成されており、金属と有機化合物が配位結合することで構成されています。
一方COFは金属を含まず、軽元素同士が共有結合して構成されています。
そのため①軽い(軽元素のみから構成され、金属を含まないから)②熱安定性や化学的安定性が高い(共有結合のみ構成されているため)ことが最大の特徴となっています。
またCOFの仲間であるMOFについては以下のリンクで詳しく解説していますので、こちらも是非参考にしてください。
COFの構造
COFというと1つの構造が決まるようなことを想像してしまうかもしれません。
しかしCOFはあくまで水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素などの軽元素が共有結合で結びついた多孔質物質の総称です。
そのためCOFにも色々な種類があります。
イメージとしては、例えば高分子というと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどたくさんの種類があります。
このようにCOFもあくまでの総称でいろいろな構造を持ったCOFが合成されています。
例えば以下のような化合物がCOFを構成する化合物としてよく利用されています。
そしてこのように構成される化合物が変わることで、細孔のサイズします。
そのため目的に応じて様々なCOFが合成されています。
具体的にはCOF-1を始め、既にCOF-100番第まで合成されています。
COFの応用分野
COFはまだ新しい材料で、実際の商業化にはまだ至っていません。
その理由としはまだ合成するのが難しかったり、想像するのにコストがかかるのが要因の1つです。
しかし最近は環境意識の高まりから、COFを用いたガスの貯蔵、ガス分離、センサー、吸着剤など幅広い分野への活用が研究されています。
COFはこれまでの多孔質材料とは異なり、柔軟な構造にも関わらず高い耐久性を持つなどの特徴を持っており、これからの実用化が期待されています。
特に最近は水素社会を目指した研究開発が積極的に進められています。
その中で水素を安全に貯蔵する研究開発が積極的に行われており、このCOFが注目されています。
COFのまとめ
今回は最近注目されているCOFについて概要を説明しました。
まだ実用化はされていませんが、今後開発が期待される新材料ですので是非チェックしてください。
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