最近、半導体に注目が集まっています。でも、半導体について調べてみると、難しい言葉や専門用語ばかりで、なかなか理解できませんよね?
そこでこの記事では、アンダーフィルについて「小学生でも分かるぐらい簡単」に解説していきます!
難しい言葉をできるだけ使わず、わかりやすく説明するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
まずはアンダーフィルを1分で理解しよう!
アンダーフィル材(Underfill)は、電子部品を守るための「のり」や「接着剤」のようなものだと考えてみてください。
以下の図が分かりやすいのですが、チップと基板の間に流しこむ「のり」のようなイメージです。
実際にはスマホやゲーム機の中には、上のようなとても小さい部品(半導体)がたくさん入っていて、その部品同士をくっつけて電気を流すために「ハンダ」という金属が使われています。
⇒(上の図の丸いチップと基板の間にあるもの。)
しかしこれだけだと部品が振動や温度の変化で壊れやすくなります。
そこで使われるのがアンダーフィルです!
ハンダでくっつけた部品のすき間にアンダーフィル材を流し込むと、部品が動かなくなり、振動や温度の変化にも強くなります。
簡単に言うと、アンダーフィル材は「小さい電子部品を守るバリアみたいな接着剤」です!
アンダーフィルの役割を理解しよう!
1.部品を守る
電子機器の中には、基板(電子回路が書かれた板)と小さな部品(チップ)がくっついています。
でも、この接続部分はとても弱く、壊れやすいです。
例えば、振動や衝撃で壊れたり、温度が変わると膨らんだり縮んだりしてダメージを受けることがあります。
アンダーフィル材は、この接続部分を覆って補強し、壊れないようにします。
2.湿気や汚れから守る
外からの湿気やほこりが入り込むと、電子部品が腐食したり壊れたりします。
アンダーフィル材は、こうした外部の影響からも部品を守ります。
3.熱を分散する
電子部品が動くと熱が出ます。
この熱をうまく逃がす手助けもしてくれるので、部品が長持ちします。
アンダーフィルはどうやって使うの?
アンダーフィルは液体なので、基板とチップの間のすき間に流し込みます。
このとき、「毛細管現象」という水が細い管を登るような仕組みを利用して、液体を自然に広げていきます。
その後、加熱して固めることで丈夫な保護層になります
アンダーフィルはどんな材料でできているの?
アンダーフィルは上の写真のように液状のもので、主に以下の成分で構成されています:
1. 樹脂(エポキシ樹脂が主流)
- 役割:接着剤のような働きをして、部品と基板のすき間を埋めて固定します。
- 特徴:エポキシ樹脂は硬化後に強度が高くなり、温度変化に強いため、電子部品の保護に最適です。
2. 充填材(シリカフィラーなど)
- 役割:アンダーフィル材を強くして、熱による膨張を抑える役割をします。
- 特徴:シリカフィラーは熱膨張率が低く、樹脂と混ぜることで、電子部品が温度変化で壊れにくくなります。
3. 硬化剤
- 役割:樹脂を固めるために使われます。
- 特徴:エポキシ樹脂と反応して固まり、強度と耐久性を高めます。
4. カップリング剤
- 役割:樹脂とフィラーをうまく混ぜて、剥がれにくくする役割を持ちます。
- 特徴:これがあることで、アンダーフィル材が長く安定して働きます。
5. その他の添加剤
- 例:硬化促進剤、柔軟性を高めるための可塑剤、流動性を調整するための成分など。
アンダーフィル材料の選定のポイント
熱膨張係数(CTE)が低いこと:温度変化による部品のひずみを減らします。
耐熱性・耐湿性が高いこと:電子部品が高温や湿度にさらされても壊れにくくします。
流動性が良いこと:すき間にしっかりと入り込むことが重要です。
アンダーフィルの課題
- 熱膨張率(CTE)のミスマッチ
- アンダーフィル材の熱膨張率と基板や半導体チップの材料の熱膨張率が異なると、温度変化によって部品にストレスがかかり、接続が壊れやすくなります。
課題:熱膨張率を基板やチップに合わせた材料設計が必要。
- アンダーフィル材の熱膨張率と基板や半導体チップの材料の熱膨張率が異なると、温度変化によって部品にストレスがかかり、接続が壊れやすくなります。
- 信頼性向上の要求
- 特に自動車、航空宇宙、5Gデバイスでは、長期間にわたる高温・高湿度環境でも高い信頼性を維持する必要があります。
課題:耐熱性、耐湿性をさらに向上させるための改良が必要。
- 特に自動車、航空宇宙、5Gデバイスでは、長期間にわたる高温・高湿度環境でも高い信頼性を維持する必要があります。
- 微細化対応
- 半導体パッケージの微細化が進み、部品間のすき間が非常に狭くなっているため、アンダーフィル材の流動性と充填性が重要になっています。
課題:流動性を高めつつ、硬化後の強度や信頼性を維持する必要がある。
- 半導体パッケージの微細化が進み、部品間のすき間が非常に狭くなっているため、アンダーフィル材の流動性と充填性が重要になっています。
- 製造プロセスの高速化
- 生産性向上のために、アンダーフィルの塗布・硬化プロセスを高速化する要求があります。
課題:硬化時間を短縮しつつ、均一な塗布を実現することが求められる。
- 生産性向上のために、アンダーフィルの塗布・硬化プロセスを高速化する要求があります。
- コスト削減
- 高性能なアンダーフィル材料はコストが高く、特に低価格が求められる製品では採用が難しいことがあります。
課題:性能を維持しながらコストを抑える材料設計が必要。
- 高性能なアンダーフィル材料はコストが高く、特に低価格が求められる製品では採用が難しいことがあります。
アンダーフィルの展望
- ナノフィラー技術の活用
- 微細なナノサイズのフィラーを使用することで、より均一で高性能なアンダーフィル材料が開発されています。これにより、微細化したパッケージへの対応が進むと期待されています。
- 新規樹脂材料の開発
- エポキシ樹脂に代わる新しい樹脂材料が開発されており、より高い耐熱性・耐湿性を持つアンダーフィル材が登場する可能性があります。
- 低温硬化型アンダーフィル
- 低温で硬化するアンダーフィル材の研究が進んでおり、これによって製造プロセスの省エネ化や熱ダメージの軽減が期待されています。
- 再加工ができるアンダーフィル
- 再加工ができるアンダーフィル材が開発されており、不良品を修正しやすくすることで製造コストを削減できるようになります。
- 新規用途への拡大
- アンダーフィル材は、半導体パッケージだけでなく、5G通信デバイス、IoT機器、自動車用電子部品など、さまざまな分野での需要拡大が期待されています。
- AI・IoT時代への対応
- AIやIoTデバイスの普及により、より高性能・高信頼性を持つアンダーフィル材の需要が増える見込みです。これに対応するため、より高度な材料設計が進むでしょう。
市場拡大と応用分野
- 自動車分野での需要増加
電気自動車(EV)や自動運転車などで高度な電子機器への信頼性要求が高まり、自動車分野での採用拡大が見込まれます。 - 小型・高性能デバイスへの対応
スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、小型で高性能な電子機器向けに成形アンダーフィル(MU)材料など新たなソリューションが求められています。
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